不動産ブログ

2024/10/03

相続した土地は3年以内に売却しないと損!?

〈前提〉相続した土地を売ると譲渡所得税がかかる!?

譲渡所得税とは、不動産を売却したときに得た売却益に対して課せられる税金です。譲渡所得税を納めるには、売却した年の翌年2月16日〜3月15日までの間に居住している地域の税務署で確定申告を行う必要があります。なお、譲渡所得税は、不動産を売却した際の総額ではなく、不動産の取得・売却にかかった経費を差し引いた「譲渡所得」の価格に応じて課せられます。

譲渡所得は以下の計算式で算出します。

→ 【譲渡所得 = 売却価格 – 取得費 – 譲渡費用】

・売却価格 …土地が売れた価格

・取得費  …土地の購入代金、仲介手数料、登記費用など取得にかかった金額

・譲渡費用 …土地の測量費、仲介手数料、印紙税など譲渡にかかった費用

相続した土地は3年以内に売却すれば税金が安くなる!2つの特例を紹介

①取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続によって取得した土地・建物・株式などを一定期間内に売却した場合に、相続税の一部を取得費に加えられる制度です。本来相続人は、相続時には相続税・相続の売却時には譲渡所得税と二重で納税しなければなりません。しかし、それでは財産の手残りが少なく、納税者への負担が大きくなってしまいます。そこで、相続税を取得費に加えられるようにし、相続人の税負担を減らせるようにしたのが取得費加算の特例です。

取得費加算の特例の適用要件は、下記のとおりです。

・相続や遺贈(遺言によって、財産を相続人以外の人に譲ること)で

 財産を取得している

・相続財産を取得した人が相続税を納めている

・相続開始から起算して3年10ヵ月以内に売却している

上記適用要件の3つめに「相続開始から3年10ヵ月以内」という期限の設定があります。これは、相続税の納付期限である「相続開始から10ヶ月以内」に3年を足した期間となっています。ですから、相続税を早めに納付すればその分、売却にかけられる期間が長くなります。

②相続空き家の特例

相続空き家の特例とは、相続した空き家を売却する際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。空き家特例とありますが、空き家を解体した更地であっても同様に特例を受けられます。適切な管理をされない空き家は、家屋の倒壊・害獣の繁殖・ゴミの不法投棄など周辺の住宅に悪影響を及ぼします。こうした有害な空き家を減らすために設立された制度が、相続空き家の特例です。特例を適用すれば、譲渡所得より3,000万円が控除されるので、節税効果が得られます。

【相続空き家の特例の要件】

 空き家と売却時の状況によって適用要件が設定されています。

①空き家の要件

・空き家・土地の両方を相続していること

・故人が亡くなる直前まで居住していた家であること

・相続開始から売却まで誰も居住しないないこと

・1981年5月31日以前に建築された建物であること

②売却時の要件

・相続開始日から3年後の年末までに売却したこと

・売却価格が1億円以下であること

・耐震基準を満たしている、または更地であること

・親族など特別な関係ではない第三者に売却していること

 売却期間については「相続開始日から3年後の年末まで」とされています。

 そのため、被相続人が亡くなった年の3年後の年末までに売却すれば良いというこ とです

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」国税庁

   https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm(参照日:2024/06/22)

※取得時加算・相続空き家の2つの特例は選択制となっており、併用できません。そのため、控除できる金額を計算してメリットが大きい方を選択する必要があります。基本的には相続空き家の特例のほうが控除額が大きくなります。